第36回「ジオパークづくりと自然学校」【群馬大学名誉教授・下仁田自然学校校長 野村哲】

2010年12月9日 3:00 PM

【成功させよう「群馬デスティネーションキャンペーン」第36回】
 恵まれた自然環境を生かして、世界のジオパークを実現しよう、という活動が下仁田町で始まった。ジオパークとは、ある地域、たとえば下仁田町の「大地の公園」という意味で、主な目的は、自然環境の調査・保全と地域の活性化にある。すなわち、地形や地質の特徴と、これを生かし、そこに住む人たちが世代を超えて生活を築いてきた様子を、現地を訪れた人たちに見ていただき、食を含めて充実した時間を過ごしていただくことにある。
 【下仁田自然学校のおこり】学校づくりのきっかけは、「新版地学事典」(1996年、平凡社)の刊行に見通しがたち、深夜の学会事務室で、祝い酒を飲んでいた時のことだった。使われなくなった蔵書を、ご本人やご遺族から寄贈していただいて図書館をつくり、子ども、お年寄り、研究者にいたるまで、読書や自然観察で楽しんでいただこうと。
 地質に多様性があり、交通が便利な群馬県南西部を中心に、場所さがしが始まった。当時、下仁田町の教育長をされていた里見哲夫さんが献身的に協力してくださった。開校にこぎつけたのは99年6月で、下仁田町吉崎にある元下仁田幼稚園の建物だった。
 【自然学校の活動】開校前から実施していた自然探検や野外観察会の行事はさらに増加して、園児や小学生を中心に、御岳、鹿岳、物語山、荒船山、妙義山、大桁山などに登り、また、鏑川に行って、水生昆虫や河原の石を調べたりした。09年11月14日に開かれた創立10周年記念大会では、これまでの10年間の行事が表になって報告された。これによると、講演会・学習会65回(参加者数1191名)、出前授業80回(対象者数3878名)、各種研究会の野外調査59回(参加者663名)、大学など外部団体の実習・学習会等52回(参加者733名)、合計の行事数221回(参加者数5904名)。さらに、刊行本7種、各地質名所に設置した畳大の案内板10本、寄贈していただいた図書・雑誌類は4万点余になった。下仁田町や周辺地域の地質調査が進み、住民の皆さんとの結びつきも強まった。このときすでに、ジオパークづくりの基礎ができていたのである。
 【ジオパークづくりの活動】08年11月、早稲田大学の高木秀雄さんを迎え、「下仁田町にジオパークを−自然の恵みを町づくりに」の講演が、青倉小学校の体育館で行われ、ジオパークづくりの活動が始まった。今年の4月、吉崎にあった下仁田町自然史館が、昨年の春廃校になった青倉小学校に移転したことに伴い、自然学校も移動。同時に町の職員で構成される「ジオパーク推進室」が新設され、職員室だったところに、自然学校の事務局と同居し、自然学校が協力する形で、本格的な活動が始まったところである。来年の群馬DCでは、ぜひ多くの人に下仁田の地質・地形に触れていただき、「世界ジオパーク」登録をめざす契機としたいと考えている。

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