第45回「さり気ない暮らしの景色」【まちづくり玉村塾塾長 外丸健一】

2011年2月26日 12:00 PM

【成功させよう「群馬デスティネーションキャンペーン」第45回】
 日光例幣使道(現国道354号)の宿場町として栄えた玉村宿。この街道筋も近年はどこの市や町でも抱えているように、郊外型大型ショッピングセンターの進出や少子高齢化、若者の地元離れによる中心市街地の空洞化などで商店街の姿を消し閑散としている。かつて賑わった街道沿いは今、ただの自動車の通過点でしかない。しかし、ふと立ち止まってその街並みを眺めた時、何か懐かしい昔の暮らしの記憶が蘇る風景に気づく。
 玉村町では、平成14年旧宿場町(玉村宿)の上新田・下新田地区にある築50年以上の古い建物や街並みの歴史資産基礎調査を行った。その結果、商業機能は失っているが、地域には「歴史資産」が継承されており、文化的価値のあるものと評価された。翌年、この調査をベースにこれからのまちづくりに生かせないかと研究会を立ち上げたのが、住民主体の「まちづくり玉村塾」の発足だ。今年度で8年目になる。
 塾では、自分たちの暮らすまちを歩き、まちの特性や魅力を再発見し、その魅力を地域の住民等に伝えるために「まちかど探検」の企画や街中に残る赤煉瓦倉庫を活用したイベントを開催した。その後、各地のまちづくり先進地の視察や玉村宿の散策マップの発行、まちづくりメッセージ・まちづくりガイドラインの作成、酒蔵ジャズコンサートの開催、塾生たち酒米づくりに挑戦した玉村産のお酒「日光例幣使道玉村宿まち歩き」づくり、玉村八幡宮での燈籠宵まつりの開催など地域の歴史資産を生かしたまちづくりの大切さを伝え、玉村らしいまちづくりを提案している。
 そして、今年の「群馬デスティネーションキャンペーン」に向けてまち歩きガイドの育成、新たな玉村町の魅力の発見と開発を試みている。玉村宿は、慶応4年(1868)の大火により街道沿いの建物はほとんど消失してしまい古いものがなく、観光資源がないと思われていた。しかし、大火後に建てられた防火の工夫をしつらえた家屋や蔵、大火を免れた玉村八幡宮本殿(国指定重要文化財)などが残っている。また、佐波伊勢崎で唯一の造酒屋もある。日光例幣使道という歴史的街道と昔懐かしい暮らしの風景の残る街並みがある。そんなさり気ない景色を全国からの人たちにどう伝えられるかが鍵だと考えている。
 私たちは、町の観光地化を目指してきたわけではなく、そこに暮らす人たちが住みやすく訪れる人に魅力あるまちになってもらいたいと願って活動してきた。そんな暮らしぶりをまちに来た人たちに紹介できたらと思う。

ページトップへ戻る